【外壁塗装】無機塗料の相場価格とメリット・デメリット
外壁塗装の塗料について調べると必ず耳にする”無機”という言葉。
無機塗料は外壁塗装で使用される塗料の中でも、トップクラスの耐久性を発揮する高級塗料です。
リフォーム業者も無機塗料に関しては良い側面しか伝えない為に、「実際はどうなの?」と疑問に感じる方もいらっしゃると思います。
そこで、この記事では無機塗料のメリット・デメリット、価格相場について具体的に解説します。無機塗料の使用を検討していらっしゃる方は是非、参考にしていただければと思います。
1. 無機塗料とは
「無機」とは、炭素化合物(有機化合物)以外の化合物の総称です。
塗料における「無機」とは「ケイ素」を多く含有するものを指します。炭素を含まない無機物は化学的に非常に安定していることが特徴です。石やガラスなどが無機物にあたります。石やガラスは劣化しませんよね。
この原理は塗料にも当てはまります。
無機塗料は耐候性に優れていて、フッ素樹脂塗料を超える塗料として近年期待が高まっています。硬くキメの細かい塗膜を作りあげる無機塗料ですが、その反面弾性に乏しいという欠点があります。
注意していただきたのが、無機塗料と言っても無機物を有機物の樹脂で塗料にしたものなので、100パーセント無機塗料というものは存在しません。レンガやガラスなどの無機物を溶かすのを想像してみるとわかりやすいと思います。
現在出ているだけでも無機塗料は様々な種類があり、一般的には炭素原子が少ないほど高級塗料になります。
2. 無機塗料と有機塗料の違い
この二つの違いは下記を参照してみてください。
有機 | 無機 |
---|---|
炭素を含む | 炭素を含まない |
燃やすと水と二酸化炭素が出るもの | 水や空気・金属・ガラス・陶器など |
密着力がとても高いためヒビ割れに強い | 乾燥した際に強靭な塗膜を形成するため硬い塗膜が生まれる |
無機に比べて塗膜が弱いため、日差し・雨・風などの自然災害に影響しやすい | 硬いために密着力が悪いのでヒビ割れしやすい |
※炭素とは…様々な有機物質(ゴミや油)と結合しやすい特徴があります。
【図】炭素とは
無機物は物質的に安定しており、紫外線などの影響を受けにくいために劣化しにくいのです。
無機塗料も同じで、劣化しにくく長寿命であることに変わりはないのですが、無機塗料と言っても完全ではないので永久的にというわけではありません。
一般的には、有機塗料よりも無機塗料の方が耐候性に優れていると言えます。
3. 無機塗料のメリット
3-1. 優れた耐候性でいつまでも美観を保つ
無機塗料は紫外線に大変強く、高耐候性で長持ちする塗料です。無機自体が石やガラスの様に大変長持ちする物質なので丈夫な塗膜になります。
また、無機塗料の主原料には水に馴染みやすい「親水性」の性質があります。親水性とは、ざっくり言うと水に馴染みやいということです。壁に水が薄くくっついていると思ってください。
この親水性から導かれる特徴は、雨水などで汚れを洗い流してくれるということです。
このように、無機塗料はセルフクリーニング性能があるので、雨が降るだけでクリーニングが出来ます。雨馴染みや窓枠の汚れも低減しいつも綺麗な美観を保てます。
3-2. 頻繁に塗り替えの必要がない
塗料の耐候性が高いので、塗り替えの間隔を長く開けることが出来ます。
その結果、足場代や他の諸費用をかけることも減り、トータル的にコストを減らせます。
無機塗料は、大変耐久性の高い塗料です。アクリル塗料が8年・シリコン樹脂塗料が10~13年なのに対し、無機塗料は条件さえ整っていれば20年以上も塗り替えをしなくて良いのです。
現在、有機塗料の中でも最も耐久性が高いのはフッ素樹脂塗料ですが、それよりもさらに長く塗り替えをしなくても大丈夫という実験結果が出ています。
3-3. 燃えにくい
無機塗料は高い防火性があります。燃えにくい建築材と合わせると、より一層の防火性が高まります。
3-4. カビやコケが発生しにくい
コケは単に美観を損なうだけではありません。コケの根から発生する「根酸」という酸性物質により、素材によっては素材自体の耐候性を低下させる恐れもあるのです。
無機塗料は、カビやコケの栄養分である有機物の含有量が少ないので、それらが発生しにくいという利点があります。
4. 無機塗料のデメリット
4-1. フッ素と並ぶ高価格塗料
無機塗料の最大のデメリットは、何と言っても価格です。無機塗料は他の樹脂塗料と比べ高価なものが多いので、初期費用が多くかかります。
新築してから最初の塗替えのタイミングに高額な塗料はなかなか使いづらいと考える方が多数だと思います。
一般的な有機塗料に比べると、一平米あたり千円ほど高くなります。
外壁はそれなりの面積がありますので、見積もりを取ってその金額の高さに驚かれた方もいるのではないでしょうか。長期的に考えればコスト削減になりますが、無理をせずに予算を考慮して検討するといいと思います。
4-2. 塗装時に注意が必要
次回の塗り替え時に無機塗料の上に重ね塗りをする際には注意が必要です。無機塗料は汚れが付きにくいので、塗料が乗らないで弾いてしまったり、剥がれてしまったりする可能性があります。場合によっては塗り替えが不可の為、交換前提の外壁もあります。
また、無機塗料に対応していない下地もあるのでこちらも注意が必要です。
すでに弾性塗料が塗装している壁には対応していない場合があります。無機塗料硬くて丈夫な塗膜で形成されるためです。
そのような場合は弾性の上に塗り事が出来る、有機無機が混ざったハイブリット系の弾性塗膜対応の無機塗料で施工する必要があります。
また、無機塗料が不向きの外壁材が存在します。今後、技術が進歩すれば無機塗料で塗れる素材も増えてくるかもしれませんが、今はメーカーが「不向きです」と公言している素材には使用しない方が良いでしょう。
サイディングボードやガルバリウム鋼板には塗装できませんのでご注意を。
4-3. 仕上がりが想像していたものと違う
有機塗料の場合は完全に艶を消すことも出来ますが、無機塗料の場合は3分艶・5分艶は出来ても艶消しは出来ません。
それゆえに、「仕上がりが思っていたのとは違う」となる場合もありますので注意が必要です。
施工前に業者にサンプルを見せてもらうなどして対処しましょう。
4-4. 低汚染性能を発揮させるには条件が必要
いくら低汚染性能が高くても、軒が大きく貼り出しているような建物など、雨が当たらない場所では低汚染性能は発揮されません。
その場合は、手間はかかりますが、ホースで水をかけるなどしてクリーニングをすることになります。
5. 無機塗料の種類
5-1. 日本ペイント:アプラウドシェラスターNEO
日本の塗料メーカーの大手企業「日本ペイント」から発売の超耐候性、超低汚染性を有する水性有機無機複合2液型塗料です。
フッ素樹脂を超える有機塗料と無機塗料の2つのメリットを併せ持つ建物をより長く保護するために開発された日本ペイント最高級塗料の一つです。
5-2. 日本ペイント:ハナコレクショウン500コート
雨だれに強く、超低汚染性。汚れが付いていても落ちやすい、超親水性1液型塗料です。
5-3. スシルクウォール:関西ペイント
同じく大手メーカーの関西ペイントからの発売の水性1液型無機系塗料です。強靭で伸びやすい塗膜を形成し、無機成分を含みながらも微弾性系下塗りや弾性系下塗りなど幅広い下地選択性と旧塗膜選択性を持つのが特徴です。
5-4. エスケー化研:スーパーセラタイトF
従来のフッ素樹脂よりも、高い耐久性と低汚染性を示す塗料を開発。オリジナルの無機とフッ素樹脂を複合させた樹脂を導入し、一液化することで施工の省力化や性能の均質化を実現した塗料です。
より緻密な表面を形成し、劣化因子の発生を制御する。光安定化技術の導入による効果もあり、従来品よりも耐久性が得られます。
この様に、無機塗料には水性、弱溶剤2液型、水性2液型など様々な種類があります。
入っている無機質の成分によって特徴も異なります。
例えば、若干臭いがするのは「水性」です。
臭いの気になる人は、水性ではなく、弱溶剤タイプを選ぶと良いでしょう。メーカーによっても様々な種類の無機塗料が登場していますで、色々と比べてみると良いですね。
6. 無機塗料に向いている人
- 家の形状によって汚れやすい場所がある
- 雨が外壁材に当たりやすい形状の家に住んでいる
- 常に綺麗な外壁を保ちたい
- 家のメンテナンスのトータルコストを削減したいと考えている
上記に該当する方は無機塗料がオススメです。
まとめ
無機系塗料の特徴・メリット・デメリット、この全てを合わせて「耐候性が高い」と評価されています。
少し前までは、硬化である事から避けられていた無機系塗料ですが、近年では外壁塗装に積極的に取り入れられています。
ですが、せっかくこんな素晴らしい無機塗料を選択しても、施工する業者の腕によっては十分な成果が表れない場合もあります。
無機塗料本来の効果を出すには、技術・品質の高い依頼をすることが大切です。
もちろん、これは無機塗料だけでなく、全ての塗料に当てはまることです。
技術や品質の低い業者が塗り替えをすると、数年で塗料が剥がれてしまいます。
より良い業者を見つけるためにも、見積もりは1社に限らず、数社に相見積もりを取り入れましょう。
その際は見積もりに不備はないか、業者の対応はアフターフォローの充実など、様々な点を比較してみて下さい。
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